良いワインを造る為には、色々な要件を満たさなければなりません。葡萄栽培に適した気候、良質な土壌など、まずは良い葡萄を栽培することが味わいを左右します。
そして、その良質の葡萄をどう言った手法でワインへと変えていくか。その役目を果たすのが醸造家。という事で今回は、醸造家について書いてみようと思います。
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葡萄の収穫(ヴァンダンジュ)で私が感じた事
2006年、フランス・ブルゴーニュ地方で、私は醸造家(フィリップパカレ)が所有する畑で収穫の手伝いを経験しました。収穫の仕方には、手摘みと機械摘みがあります。
機械のメリットは、少人数、短時間で沢山の葡萄を収穫できます。しかし、枝や腐りかけの葡萄なども摘んでしまう為、ワインの出来が良くありません。一方、手摘みは人手と時間、コストは掛かってしまいますが一つ一つ選別出来ますので結果、良質のワインへと変わります。
パカレの畑で収穫を経験したときは、一つ一つ手摘みの作業でした。最初、意気投合し作業を行うものの、これが中々大変。集中力がかけたせいか、傷んだ葡萄を収穫した際、パカレはそれを見過ごさず私のもとへ来て指導していただきました。
こう言った作業の積み重ねが、良質のワインへと変わって行くのだと、当時私は強く感じるのと同時に、これも醸造家の個性だと感じました。
ワインの個性を出すために様々な手法で造る
ワインは葡萄を発酵させて出来上がります。その為、発酵時間を変えるだけでも味わいは変わります。基本的に発酵時間が短いワインは、タンニンが出ないため色合いは淡くなり甘口なワインに仕上がります。
一方、発行時間が長ければ色合いは濃く、タンニンも出ますので辛口なワインになります。又、発酵が終わったワインは通常【澱引き】と言って澱を取り除きますがシュールリーと言う手法は、澱引きをせずタンクの中で澱とワインを接触させます。
シュールリーをするかしないかで味わいは変わってきますので、醸造家がどう言うワインを創造しているか、その舵取りをします。
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熟成の工程によっても味わいは変わる
ワインを寝かせるのにも、醸造家の個性がでます。ステンレスタンクで熟成させるのか。木樽で熟成させるのか。
ステンレスタンクを使用すると、酸素を通しにくいため、酸化を防ぎクリアでフレッシュなワインになり、タンクからの影響も少ないため、葡萄本来が持つ味わいが引き出せます。一方、木樽で熟成されれば木のタンニンや香りがワインに移り、味わいに厚みや複雑性が生まれます。
「バニラ」「ナッツ」「スモーキー」など表現されるワインには、樽熟成されたワインが多いです。
密封性もステンレスより低いため酸化が促されて、ワインの色や味わいが濃くなるというのも木樽の特徴です。
ブルゴーニュの醸造家にドミニクローランという方がいますが、この方は、買い付けたワインを新樽に詰め替え、半年後さらに新樽に入れ替え再び熟成(新樽200%)を行ったりもしています。
ワインの味わいと醸造家の個性 まとめ
様々な要件で味わいが変わるワイン。収穫や時間など事細く決めていく醸造家は、まるで船長のような存在ですね。醸造家の仕事を知る事により、また違った形でワインと向き合えるのではないでしょうか。
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